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70 さびしさに宿を立ち出でてながむればいづこも同じ秋の夕暮れ(良暹法師りょうせんほうし)の歌に関する文(今橋) 

70 さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ  良暹法師 りょうせんほうし 歌意 あまりの寂しさのために、庵を出てあたりを見渡すと、どこも同じように寂しい秋の夕暮れであるよ。                       所載歌集「後拾遺集」秋上 原色小倉百人一首 文英堂より「宿を立ち出でて」の「宿」は、作者・良暹法師の住んでいる庵(いおり)であるということ。今、旅館という言葉と...

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50 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな  藤原義孝

50 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな  藤原義孝歌意 あなたのためにはたとえ捨てても惜しくないと思っていた命までも、逢瀬を遂げた今となっては、長くありたいと思うようになったのだった。 所載歌集『後拾遺集』恋  『原色小倉百人一首』文英堂より男のひとの歌だなあと思う。後朝(...

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66  もろともに あはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし  前大僧正行尊さきのだいそうじょうぎょうそん の文(今橋愛)

66 もろともに あはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし  前大僧正行尊さきのだいそうじょうぎょうそん   歌意 私がお前をしみじみといとしく思うように、お前もまた私のことをしみじみいとしいと思ってくれ、山桜よ。    花であるお前以外に心を知る人もいないのだから。  所載歌集「金葉集」雑上                                      原色小倉百人一首(文英堂)よ...

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46 由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ 行くへも知らぬ 恋の道かな 曽禰好忠(そねのよしただ)の歌と文と翻案(今橋愛)

46 由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ 行くへも知らぬ 恋の道かな 曽禰好忠(そねのよしただ)歌意 由良の瀬戸を漕ぎ渡っていく舟人が、かじがなくて行く先もわからず漂うように、これからの行く末のわからない恋のなりゆきだなあ。      所載歌集「新古今集」恋一かじが波にとられて、かじどころか乗っている小舟も流されて行きたかった方向も、ここがどこなのかも分からなくなってしまったら。ほんとうに心細くてこ...

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十八番住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人めよくらむ 藤原敏行朝臣(としゆきあそん)の文(花山周子)

十八番 住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人めよくらむ 藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)歌意 住の江の岸に寄る波のよるではないが、夜でも夢の通い路を通って逢えないのは、あの人が夢の中でも人目を避けているからであろう。 所載歌集「古今集」恋二 原色小倉百人一首(文英堂)より 「住の江の岸による波」は「よるさへや」を導き出す序詞となっているが、初句に置かれたこの「住の江」という固有名詞は、...

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24番 このたびは ぬさもとりあへず 手向山(たむけやま)紅葉の錦 神のまにまに 菅家の文(今橋愛)

24番 このたびは ぬさもとりあへず 手向山(たむけやま)紅葉の錦 神のまにまに   菅家 歌意 この度の旅は、幣を捧げることもできない。さしあたって手向けの山の紅葉を幣として捧げるので、神のお心のままにお受けとりください。        所載歌集「古今集」羇旅(きりょ) 菅家、というのが菅原道真(すがわらのみちざね)と知らなかった。かんけ。羇旅(きりょ)は旅のこと。とんこつラーメン。太宰府天満宮。...

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15番光孝天皇の 君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ(光孝天皇)と文(花山周子)

「主婦と兼業」(※)を更新します。花山周子さんがお書きになった15番光孝天皇の 君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ の鑑賞と翻案です。十五番君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇歌意 あなたのために、春の野に出かけていって、若菜を摘んでいる私の袖に、雪が次から次へと降りかかってくるのだ。              ...

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23番 月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど 大江千里(おおえのちさと)の文(今橋)

23番月みれば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身一つの 秋にはあらねど 大江千里(おおえのちさと)歌意 月を見ると、あれこれ際限なく物事が悲しく思われるなあ。私一人だけの秋ではないけれども。                      所載歌集「古今集」秋上 原色小倉百人一首(文英堂)より 夏の空気に慣れきっていた身体に、いちばん最初にふれてくる あの風、が 皮ふにあたったら。わたしは こころがちかち...

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ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは 在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)と文(花山周子)

十七番 ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは 在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん) 歌意 不思議なことの多い神代でも聞いたことがない。竜田川が唐紅色に水をくくり染めにしているとは。(原色小倉百人一首 文英堂より)所載歌集 古今集 秋下    京都で外国人用に売っている化繊の着物の柄のようで、または雅叙園の豪華絢爛たる装飾のようで、つまり、案外この歌は日本的でないなと思う。「ち...

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34番 誰をかも知る人にせむ高砂の松を昔の友ならなくに藤原興風(ふじわらのおきかぜ)(今橋)

34番誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松を昔の 友ならなくに 藤原興風(ふじわらのおきかぜ)歌意 いったい誰を親しい友人にしようか。長寿の高砂の松も、昔の友ではないのだから。                                 原色小倉百人一首(文英堂)より所載歌集 『古今集』雑上           この歌のことを考えていたら ほとんどわすれかけていた「老いの才覚」曽野綾子、ベスト新...

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