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10番 これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関  蝉丸

「主婦と兼業」第6回(第5回は今橋さんの頁で更新されています。)
今回は百人一首10番、蝉丸の歌です。今橋さんは大阪の郊外で、私は柏市(東京郊外?)で育って、お互いをとても遠く感じていたのですが、この文章読んで、案外共通点あるなあと、今橋「おったよね、牛」、花山「うん、おったよ、馬」。
それにしても今橋さんのこの文章&歌、かっこいいのです。既発表のものでして、読んだときから忘れなれない。

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これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関   蝉丸

歌意 これがあの、これから旅立つ人も帰る人も、知っている人も知らない人も、別れてはまた逢うという、逢坂の関なのですよ。
        所載歌集『後撰集』雑一
         原色小倉百人一首(文英堂)より


校区外にあこがれるこどもだった。
「校区外きんしー」そこの信号をわたっただけでおこられてしまう、けど、信号をわたったら一体どんな世界があるんやろう。という想像は止まらず、近所の子と校区外に行って、当時(35年くらいまえ)は、なんでか大阪にも牛がいたりして。でも、それからあの辺で牛を一度も見てないから、あの牛は想像で作りあげた牛か。と思ったりもするけど、おったよね、牛。それはそれとして早く中学校に、高校に、大学に、いつも知らないところに行きたかった。でも高校時分、8割がたが進む地元の高校に行った友だちと道でぱっと会うと、こちらのまじめすぎる制服に対して、みなさんは口元に色などほどこし、スカートの短さに校風の自由さなど一目で感じ、わたしは知らず知らずのうち嫌な顔をしているらしく、後日、こないだ嫌そうやったなー。と笑って言われたりした。そして、若い娘時分『ひきこうもり』まではいかないにしても、まあまあ閉じていた時期に、近所を歩けばベビーカーを押す、子乗せ自転車でがんがん行く、それらママたちにくらべて圧倒的に役がないとがっくり落ちこむ。それが長いことわたしと地元との距離感だった。
ところが、校区外、校区外の後、今は地元で暮らしている。少しごみごみしてるけど、自転車ですいすい行く時の安心感の量たるや束。
もうすぐ3才のここ(娘・写真)を後ろに乗せて、わたしたちは今日も自転車でのんのん行くのだった。

『人生の視える場所』はない 
どこにもない 
そうなんか そうか 
大阪にいる。        今橋 愛



※『人生の視える場所』は岡井隆の歌集のタイトル
  (初出 角川『短歌』2016年5月号 
             『てのひらの街』欄)
※「主婦と兼業」は今橋愛と花山周子のごくささやかな勉強の場でもありますが、この場を通し、いずれ新たな創作へ繋げていければと思っています。いいねやご感想などいただけますと大変励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。
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