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十三番筑波嶺(つくばね)の峰より落つる男女(みなの)川 恋ぞつもりて 淵となりぬる(陽成院)の文(花山周子)

「主婦と兼業」※を更新します。
今回は花山周子さんのお書きになった陽成院(ようぜいいん)の歌の文と返歌のような一首。気色悪い。ぞっとする。と書く淵を、最後の歌で、しゃっしゃと切っているところがおもしろかった。(今橋)

十三番 
筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる 男女(みなの)川 恋ぞつもりて 淵となりぬる        陽成院

歌意 筑波の峰から激しく流れ落ちてくる男女川がしだいに水量を増やして深い淵となるように、
私の恋心も積もり積もって淵のように深くなってしまった。  所載歌集『後撰集』恋   『原色小倉百人一首』文英堂より

 涙の歌だと思った。というのは音のせいだろう。「みねよりおつるみなのがわ」、あたりが、いかにも涙が落ちるようである。そして、涙がたまって「淵」になる。だけど違うよね。「淵」になるのは「恋」。「恋」が積もって「淵」になる。なんて気色悪いんだろう。「みなの川」も曲者で、漢字では「男女川」と書く。さらに曲者なのが「筑波嶺」。筑波嶺は言わずと知れた歌垣の地。
 
 求婚の歌なのだそうである。
歌垣の地で、つまり男女の聖地から下る男女川の流れが「恋ぞつもりて淵となりぬる」という下句の心情を引き出す序詞となっている。それにしても、積もるなら、恋も積もれば「山となりぬる」のほうが順当な気がする。時代が違うのだから、と自分にいくら言い聞かせても「淵となりぬる」にぞっとする。


恋なんて死んでからでもできるなり娘と並び水切りをする                     花山 周子

※「主婦と兼業」は花山周子と今橋愛のごくささやかな勉強の場ですが、ここから いずれ新たな創作へ繋げていけたらと思っています。いいねやご感想などいただいて、とてもうれしく、励みになっています。どうぞよろしくお願いします。
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