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46 由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ 行くへも知らぬ 恋の道かな 曽禰好忠(そねのよしただ)の歌と文と翻案(今橋愛)

46 由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ 行くへも知らぬ 恋の道かな 曽禰好忠(そねのよしただ)

歌意 由良の瀬戸を漕ぎ渡っていく舟人が、かじがなくて行く先もわからず漂うように、
これからの行く末のわからない恋のなりゆきだなあ。      所載歌集「新古今集」恋一

かじが波にとられて、かじどころか乗っている小舟も流されて行きたかった方向も、
ここがどこなのかも分からなくなってしまったら。
ほんとうに心細くてこわいことだ。身体が水に浸かり、息が詰まっておぼれていく自分の姿を想像して。

だけど、この歌は恋の歌。行くへも知らぬ恋の道かな。
今は何をするにも便利で「行くへも知らぬ」になりにくい時代かと思う。
にもかかわらず、今、この絵の中にいてるわ。って思えるのなら。 
それはとても貴重な瞬間だから、ぜんぶ味わったらいいんとちがうかな。って思います。
この絵の中に ずっとはいられない。というとこからの反語も込めて。

作者 曽禰好忠(そねの よしただ)には 
招かれていない歌合の席にのりこみ、自分が招かれへんはずない!と言い張ってつまみだされるという 
どう捉えていいのかわからないエピソードとともに
偏狭(へんきょう)な性格であった、とあちこちに書かれている。
偏狭っていう字 久しぶりに見たわ。ていうか
1000年も経ってくると歌人も言われ放題やな。という気もしながら 
恋になると偏狭って一転、力だと思うので、
この歌のこころを まあまあ信じている。

曽根好忠と同じく、わたしの翻案も実景ではない。
この歌をみた女友だちが 
地中と地上のちがいについておしえてくれたのも なつかしいおもいでです。

あなた水のうえにいるのに
あなた水のうえにいるのに

さみしそうなかお       今橋 愛 ( 短歌研究2009、8月「目で聞き、耳で読む」より )
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