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5番 奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき 猿丸大夫(さるまるだゆう)(花山周子)

『主婦と兼業』 を更新します。

今回は 花山周子さんの
5番 猿丸大夫の  奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき です。
花山さんが お書きになっているように、名前、おもしろい。
さるまるだゆう、って。 音からくる 力の抜けた感じが、なんかヒガシマルうどんスープのCMみたい。(今橋)

五 奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき   猿丸大夫(さるまるだゆう)

歌意 人里離れた奥山で、散り敷いた紅葉を踏み分けて鳴いている鹿の声を聞く時こそ、いよいよ秋は悲しいものと感じられる。

                   所載歌集『古今集』秋上    原色小倉百人一首(文英堂)より


----------------引用---------------------

『奥山』『紅葉』『鳴く鹿』『秋』、そして『悲しき』。寂しさ、もの悲しさを畳みかけるように言い連ねる詠み方だが、
それをうるさく感じないのは、この歌そのものが、わたしたちの美意識の規範だからである。(『トリビュート百人一首』)

----------------引用ここまで------------

と高島裕は書く。そしてまた、私はそれゆえに、この言葉の連なりが退屈に思われた。
秋の鹿の雄が雌を呼ぶ鳴き声が嬬恋(つまごい)の心に結びつくというのは、古典和歌の常套中の常套であって、何一つ、目新しいものがない。
おもしろいのは作者の名前。「猿丸大夫」。秋の奥山の「猿」と「鹿」の取り合わせは、悪くない。
さらにはこの作者、三十六歌仙の一人でありながら、謎の人物。
奈良時代の人と推測されているということは、百人一首の中でもかなり古い部類の作品ということになる。
こんな情報が頭に入ってゆくうちに、この歌がみるみる原始的な様相を呈してくる。
奥山のどこかで紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を、やはり奥山のなかで毛皮を纏い、弓なんかを肩に下げた猿丸大夫は耳にする。
耳にした時、彼の前に、秋の景が新しく開けた。「声聞く時ぞ秋は悲しき」この係り結びが実に効いているではないか。
下の句に「き」が四つもある。「き」の音が、どこまでも透明な秋の空気を連れてくる。


この道はいつか来た道電線に鴉(からす)が鳴ける冬ざれの道      花山 周子
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